要旨:文章をコードのように組み立てるIDE。
新規性:出典を名前空間でimportし、本文ではpackage.symbol
で参照し、最終出力で正式表記と引用へ自動展開する点。
提案:Knowledge‑Package Writing IDE(仮)
文章を「コードのように」扱う。外部ドキュメントや論文を知識パッケージとして取り込む。本文ではpackage.symbol
という記法で用語や定義を参照する。LLMは現在のカーソル文脈と取り込み済みシンボルを使い、補完と校正を支援する。
基本発想
- 外部ドキュメント、URL、論文、書籍を「ライブラリ」とみなす。
- それらをimportし、任意のパッケージ名を付与する。
- パッケージ内の用語、定義、図表をシンボルとして抽出する。
- 本文は
package.symbol
で参照する。 - シンボルはサジェスト、ツールチップ、辞書リンク、引用生成に使う。
- LLMは「インポート済みパッケージ」と「使用中シンボル」を追加コンテキストとして受け取る。
コア機能
- Import/Reference管理
- URL、DOI、PDF、Markdownをドラッグアンドドロップで取り込む。
- メタデータ解析、BibTeX生成、バージョン管理をする。
- Vocabulary抽出とインデックス
- 固有表現、キーフレーズ、図表キャプションを抽出する。
- 同義語や略語をマッピングしたシンボルテーブルを生成する。
- Namespacedオートコンプリート
pkg.
入力で候補が表示される。- 補完時に定義と出典をプレビューする。
- 文脈対応LLMエンジン
- 文章文脈とインポート済みシンボルをプロンプトに注入する。
- 要約、書き換え、比較、引用生成のプリセットを提供する。
- RendererとExporter
pkg.term
を「正式表記+引用」にレンダリングする。- 出力はMarkdown、LaTeX、Word、HTMLを想定する。
典型ワークフロー
import "https://github.com/bitcoin/bips/blob/master/bip-0119.mediawiki" as bip119
。- 右サイドバーに
bip119
の用語一覧が生成される。 - 本文で
bip119.
と入力すると候補が表示される。 bip119.TemplateHash
を選ぶと、前後の文脈に基づき補完される。- 「コンパイル」で
Template Hash (BIP‑119)
に展開し、参考文献を自動生成する。
ユースケース
- BIPや設計ドキュメントの執筆と改版。
- 実装メモやレビューコメントの一貫性維持。
- APIドキュメントや運用手順の再利用可能なフレーズ集。
- 多言語展開。シンボルは共通で、文章のみ翻訳する。
アーキテクチャ概要
- Frontend Editor
- Import UI。
- コードライクなエディタと補完。
- Backend Services
- Vocabulary抽出(NLP)。
- ベクターデータベースとシンボルテーブル。
- LLMゲートウェイ。
- 引用フォーマッタとエクスポータ。
- Plugin Layer
- Zotero連携、社内Wikiクローラ、画像埋め込み。
メリットとチャレンジ
メリット
- 用語の一貫性と引用の正確性が向上する。
- 引用から着想、執筆、整形までを1つのエディタで完結する。
チャレンジ
- 大規模インポート時のコンテキストサイズ制約がある。
package.symbol
記法の学習コストがある。
まとめ
名前空間付きの知識パッケージをimportし、package.symbol
で参照することで、文章をコードのように構成できる。LLMを補完エンジンとして統合することで、精度の高い執筆と正確な引用を両立できる。仕様策定や設計ドキュメント作成において、レビュー効率と可読性の向上が期待できる。